第1章 幼馴染
「えー、おほん。ですからねぇ」
あれから数分後、放心から解かれた
空達はなぜか瑠実のお説教(?)を聞かされている。
「なんで俺まで・・・」
「まぁまぁ、友の頼みなんだから聞いてよ。」
ぐっと悔しそうに正座をする凪を
空はまぁまぁと励ましていた。
「…まぁとにかく。絶対に二人は両思いなんです!」
「だからと言ったって、付き合うのには
二人の時間が必要だろ?
そこは俺らがつっこむところじゃあない。」
「ぐぅ、でも友を応援する気持ちは一緒でしょ!?」
「まぁそうだけどさ…。」
凪と瑠実がう~と睨み合う。
「で、空はどうなの?」
「えっ?」
いきなり自分に質問がまわってきて、
空はドキっとしてしまった。
「空は駿とどうなりたいの?」
「…どうなりたい…って…」
空は頭を抱える。
どうなりたいといわれても答えようがない。
たしかに駿ともっと仲良くなりたいが、
別に今の関係にとても満足しているのは確かだ。
それに、もし駿に好きと言ってしまったら、
失敗したときはもう今のようには戻れないだろう。
空はそこを一番心配しているのだ。
だから…
「私は…このままでいいよ。」
答えは今のままでいい、だった。
瑠実は静かに微笑む。
「そっか。空がそれがいいなら、
私もそれでいいよ。」
「うん。まだ時間はあるしな。」
凪もにっこりしながら頷いてくれた。
空はお弁当を片付けながら、
駿の寝顔をそっと見る。
相変わらず、可愛い顔だ。
空は、その顔をみながら、
静かに「フフっ」と笑っていた。