第2章 真実とは何か?
ケンタウロスは取り戻した書を見つめた。
戦いをしていた兵士達からも歓喜の声が上がり3人は拍手喝采に包まれた。
「いけないわ。急いで学校へ戻りましょう。」
ウンディーネはケンタウロスとディオにそう言うとホーラ達とゴブリンにお礼を言った・・・はずだった。
「あれ?ここは?」
3人が目を覚ますとそこは学校の廊下だった。そして廊下に放り出されたかのようにあの書が転がっていた。
「僕達は術士アブラメリンの聖なる魔術の書を取り戻したんだよな?」
ディオが書を拾って見つめた。
「そうよ。早く先生に渡しに行きましょう。」
ウンディーネがにっこり笑った。
「でも、どう取り戻したのか説明しないといけないな。」
どうしよう・・・。3人は顔を見合わせて考え込んだ。
その時廊下の向こうから何人かの先生がやってきてケンタウロス達を見て驚いた。
「その書は術士アブラメリンの聖なる魔術の書じゃないか?まさか君達が盗み出したんじゃないだろうな?」
エミール先生がディオの胸ぐらをつかんだ。
「よしなさい、エミール先生。生徒に向かってなんですか!」
他の先生に注意されてエミール先生は大人しく下がった。
「違うんです。僕達が盗んだんじゃなくて・・・。」
ケンタウロスがそう言いかけているとゴブリンが後ろから顔を出した。
「あら、ゴブリンじゃないの?さっきお別れしたでしょう?」
ウンディーネ、ケンタウロスとディオは目を丸くした。
そこには先ほど別れたはずのゴブリンがいた。どうやら3人にゴブリンが付いて来てしまったらしい。
「いや~なんなら今までのことを全て話しましょうか?」
そしてゴブリンによってケンタウロス達の大健闘、デマゴーグが犯人だったことが語られた。
「何だって?デマゴーグが犯人?私はてっきり・・・いや、君達がこの書を取り戻してくれたんだね?」
エミール先生がケンタウロス達に申し訳なさそうに聞いた。
「すみません。僕らもうっかり先生達が話しているのを聞いてしまって。これは僕らの宿命だと感じてしまったんです。でもなんとか取り戻すことができました。あとは留学生のホーラ達やゴブリンにも助けて頂きました。」
ケンタウロスがゴブリンの話の後にこう続けた。
先生達は生徒達を認めてくれて書を受け取った後、校長室へ伺うように言った。3人とゴブリンは先生達に続き校長室へと向かった。