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時と光と風の中で

第14章 キルケの秘密と魔法の扉


それから数日後の夕食の時だった。
ウンディーネがケンタウロスとディオの所に嬉しそうにやって来た。
「ねえ、今日の夕食は一緒に食べない?」
「いいね。」
ということになりトレイを持って食事をお皿に盛ってもらうと3人で席に着いた。
「ウンディーネったらやけに嬉しそうだね。」
「そりゃそうよ。だって図書室で誰が書いたのか読んだ時は気づかなかったけど第1章は幾何学を教えてくれたタレス先生だったのよ!」
「タレス先生!?」
ケンタウロスとディオが驚いて顔を見合わせ合った。
「ほら、第1章だけ持ってきたの。」
ウンディーネが見せてくれた本には確かに著者にタレス先生の名前が記してあった。
「凄いね。」
ケンタウロスの返事に心を弾ませながらウンディーネが続ける。
「これはタレス先生に真相を聞いた方がよさそうだわ。ああ~何を聞こうかしら?今からワクワクするわね。」
ウンディーネの心はトキメキまるで恋をしているかのようだった。
そんなウンディーネをケンタウロスとディオは穏やかに見守った。
「確かにそうよね。この本のタイトルはギリシア哲学者列伝なんですもの。有名な哲学者の数々が名を連ねているのだわ。そこにタレス先生が入ってるなんて実に素晴らしいことよ。2人ともそう思わない?」
「そうだね。素晴らしいよ。」
ケンタウロスが拍手をした。
「誇らしいよね。誰かに自慢したくなっちゃいそう。」
ディオも頷いて言った。
「それでタレス先生の章はなんて書いてあったの?」
「ギリシャ七賢人に選ばれて光栄だったと書かれていたわ。ギリシャ七賢人とは賢いと呼ばれた人物を指すんですって。アテナイの立法者ソロン、ミレトスの哲学者タレス先生そしてスパルタの民選長官キロン、プリエネの僭主ビアス、リンドスの僭主クレオブロス、ミュティレネの僭主ピッタコスで最後がケイの農夫ミュソンよ。そしてタレス先生は『最初の哲学者』として有名なのよ。ギザのピラミッドの高さを比率を使って求めたことでも知られているわ。そのことも沢山書いてあったわよ。」
今度読んで聞かせてあげるわとウンディーネは食事中は終始嬉しそうだった。そんなウンディーネの話を男子2人は聞き入っていた。
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