第11章 進級~新しい出会い~
「ケンタウロス!?」
研究室を出るとウンディーネとディオが駆けつけたので研究室でのことをケンタウロスはすべて話した。
「なるほどね。」
ディオが不思議そうに頷いて腕を組んだ。
「ケンタウロスが聞いた言葉はもしかしてムーレの詩集の一部かしらね?」
ケンタウロスの言葉を聞きウンディーネが思い出して言った。
「ムーレの詩集?じゃあ、あれは誰の声だったんだろう?」
「そこまでは知らないわよ。だって私もディオも研究室には入ってないしその人の声を聞いてないもの。わからないわ。でも先生の声ではなかったわけね。」
「うん。」
ケンタウロスは頷いた。
「それでムーレの詩集って何?」
ディオがウンディーネに聞いた。
「ああ、ムーレの詩集とはねムーレ・オ・ロムスダールと呼ばれているのよ。ケンタウロスが聞いたのは”骨折の治癒に”と言う詩みたいね。それと面白い類例に、アスビョルンセン編の挿入話『印使いの術女の話』があるわよ。この話は足をくじいた青年に対し、老女が『私があるとき馬に乗って門を抜けると』に始まり『私の黒馬は足をくじいた、だから私は肉を肉に、血を血につなぎ…』と続く家畜用の呪文をブランデーの杯の上で唱えて治療を行うものよ。」
ウンディーネは2人にわかるように詳しく説明してくれたがケンタウロスはあの出来事は何だったのか?ますます混乱するばかりであった。
夕食時はワル3人に今日の授業でのことをバカにされたが気にしなかった。
「あんなの気にしてたらきりがないからね。」
ケンタウロスはウンディーネとディオに促した。