第6章 お前を守るのは(前編) @ 国見英×β
「はい、落ち着きなよ。落ち着くまで居てあげる。」
そう言って国見は遙に小さめのミルクティーのペットボトルを差し出した。
『…ありがとう。怖かった…。』
「抑制剤飲んでた?」
国見の優しい口調の問いかけに、ゆっくりと首を縦に振る。
そうすると国見は小さく溜息をついて、遙の頭を撫でた。
「大丈夫、怖かったね。よしよし。」
意外と大きい国見の手の温かさに、自然と涙が溢れる。
泣き始めたのを感じた国見は、遙の方に寄って肩を抱き、隠すように遙を抱きしめた。
小さな公園に、遙の嗚咽だけが響いた。