第3章 身代わり @ 岩泉一×β
どうして引き止めたんだろう。
自分はどうするつもりなのだろう。
何の根拠もなしに思いもせずに出た言葉に、遙は動揺した。
「ど、どした。」
『…抱いて…ください…。』
岩泉はさらに驚いて遙を見つめた。
「バカかお前…ここ学校だぞ!?」
『わたし…Ωなの…お願い…助けて…』
喋るのもままならない。
涙でぼやける視界。
岩泉が近づいてくるのが見える。
首筋に暖かい感触。
『あっ…』
「お前、Ωだったのか…?」
ゆっくり頷く。
「…つらいか?」
もう一度、頷く。
「…内緒だからな。」