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[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]

第11章 草葉の陰


シロを助け出し、更に歩き進むと"天国仙境ゾーン"にたどり着く。
そこでは今まで見た禍々しい植物はなく、仙桃や美しく輝く植物が瑞々しく揺らいでいる。
元々、私は白澤と共に過ごしていた時期が長い為、そんな植物の方が見慣れているのだ。
なんとも心地よくて、深く息を吸い込んだ。

3匹は物珍しいようで、近くにあった"蓬莱の玉枝"へと群がった。


「うわ、綺麗だな」

「わあ"根が銀、茎が金、実が真珠"の木だって! コレ、かぐや姫が貴族に採りに行かせたヤツじゃない? でも、かぐや姫ってすごいよね。3ヶ月で3寸から成人に成長したんでしょ?」


私もたいがい思考がとぶ方だが、シロもなかなか飛びやすいようだ。


「9cmから140cmとして、1日1.5cm…注意して見たら知覚できるくらいのスピードですね」

「なんかそれ、不安になりそう」


連れ帰った赤子がじっと見てみるとみしりみしりと大きくなってゆくのだ。
大きく立派に成長するのが親の喜びとはいえ、早すぎてちょっと不安になるレベルだろう。
私がもしも子を成したとしても、出来ればゆっくり成長してくれる子供がいい。


「さて、次のゾーンがメイン。地獄でざわめく拷問の樹木です」

「わぁ~」

「すごいね、だって植物としてありえない音が聞こえるもん」


先は薄暗く、そちらの方角からは南国の鳥の鳴き声のような「きょわきょわきょわ」という音や、何かにぶつかる「ゴンッ!」という音、まるで沸騰するような「ボゴッ…ゴッボゴゴッ」といった完全に植物が出すとは思えないような音がこちらにまで聞こえている。

天国ゾーンと別にするためか、洞窟状の入り口を潜り抜けると、ムワッと熱気が襲いくる。
先程よりもずっと鮮明に木々のざわめきを耳にできる。


「まずは身洋処の火焔樹。亡者を挟んで焼いてしまいます。」


それはボウボウと音を立てて燃え上がっている。
隣には鋭い葉が茂っている木が生えている。


「槍の枝を持つ木や、鉄の木もあります」

「燃える木が多いですね」

「アレ?何コレ」


シロが見つけた木は、笹の葉のようなものが茂っており、現世でもよく見かけそうな様子をしている。


「普通の葉っぱに見えるんだけど…」

「コレは現世の地獄絵にも出てくる、地獄の代表的な木ですよ」
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