[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
だが鬼灯は多少のモフモフにも容赦しないらしい。
シロをヒョイと抱き上げる。
「この植物はですね…」
「うん」
あまり驚きもせず、シロはなんだろうとそのままに身を委ねる。
鬼灯の腕はスーッと巨大ウツボカズラへと移動し、手を離した。
シロがスッポリとウツボカズラの中へとハマる。
うむ、サイズ感ピッタリだ。
「そうやって40分もすると、何でも消化してしまう食肉植物です」
「(あ、食虫じゃないんだ)」
「出してー!!!出して出して!!!!!!!」
「イヤァア!」と絶叫し助けを請うが、厳しい鬼灯と、消化される運命が待つシロ以外の事に思いをはせる私、逆らうことの出来ない2匹が居るこの場所では、容易に逃げることができない。
自分でもスッポリすぎて上手く抜け出せない様子だ。
そんなシロに鬼灯は諭すように顔を寄せて声をかけるが、もうなんだろうこれ、威圧してるように見える。
「シロさん、むやみに親友の黒歴史えぐるものじゃないです。それがたとえ、救いようのないアホな所業だとしてもです」
鬼灯の発言は柿助の心を的確にえぐった。
そんなつもりがなくてもえぐっている。
なんとなく同情した気持ちになった私はその場でしゃがみ、柿助の肩を叩いて励ましてやる。
「どうも」と力なく言う柿助とは関係なく、私は少し硬めのその獣毛を堪能していた。
シロの方は溶けてゆく恐怖に耳がへたっている。
「鬼灯様はむやみにえぐってもいいんですね。わかりました閣下」