[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
やいのやいのと騒ぐ2匹そっちのけで、ぼーっとそんな事を考えていると鬼灯がチラリと目をこちらへ向けた。
「多分、珀訪が考えるほどややこしくないですよ」
小さく声をかけてくる。
はっと顔を上げると、どうも考えを読まれていたようだ。
何故この鬼は私の考えを容易に読み取ってしまうのか、私の顔はそんなにもわかりやすいのだろうか。
とりあえず、へへっと笑っておいた。
ルリオは見てみぬフリをして空気の読める賢い雉である。
「あ、柿? 柿ですか旦那?」
シロはよく通る声色でグサリと柿助のトラウマを鋭角に抉る。
随分と楽しそうなシロに反して、柿助はもうブチ切れ寸前の形相だ。
「オマエ、一回全身の毛ェ毟っていいか?」
あ、これほんとやばいわ。
鬼灯は既にその近くにあったウツボカズラが巨大化したような植物を見ている。
ルリオは険悪な2匹に声をかける。
「オイ、お前らくだらねーこと言ってねえでコレ見ろ。すげえぞ」
柿助はそれを見て、素直に驚く。
犬猿とは言え、長い付き合いの仲間意識の方が強いことと、シロと比べると理性的なので切り替えることが可能なようだ。
私は少しほっとする。
だが、シロは止まらない。
「柿?ねえ、柿助の好物って柿?カニ?カニカマ?」
変なスイッチが入っているようだ。
柿助だけではなく、私や鬼灯も少しウザったくなってくる。
先にクチを切ったのは鬼灯だった。
「シロさん、いい加減にしなさい。うるさいです」
「ごめんなさい。コレ何?すごいね」
やっと関心が柿助のトラウマを抉ることから、巨大ウツボカズラの方へと移った。