[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
シロは鬼灯の説明を聞き、思い出す。
「毒なのに桃太郎は生薬として採りに来てたよね?
「薬は得てして毒性がある場合もありますよ」
更にその説明とやりとりを聞いていた柿助とルリオが軽く青褪める。
「……改めて考えると"薬剤師"って国家が認めた劇薬(毒)のプロってことか……」
つられてかシロも青くなる…が、まあルリオとシロは肌が露出していないのでそんな表情に見えたというだけなのだが。
「桃太郎が目指す職、怖えぇ~…」
「医者が扱う注射だって協力だもんな」
ルリオが注射の話題をふると、シロは「キュン」と小さく声を上げた。
「俺、地獄来て初めて予防接種ってしたけど、アレ嫌い!」
まるでシロだけが苦手な様子で話しているが、あんなもの大抵の生き物は好き好んでは居ないだろう。
「私だって注射は嫌ですよ」
そんな鬼灯を「え?」なんて顔で私達は注目した。
シロが「鬼灯様も?意外」だと洩らすと、鬼灯は腕をさすり、軽い身震いをする。
「いや、だって痛いから………」
「普通のこと言ってる!!」
「注射痛いって感覚あるんだこの人!!?」
「へえ、そうだったんだ」
3匹に比べ、私は知らなかった一面を知れた程度の気持ちで感想を述べていた。
注射が苦手だなんて、案外とかわいらしい事を言うものだと微笑ましく感じる。
柿助はよほど衝撃的だったのか、何故か震えている。
「サタンも恐れない地獄の鬼神が…」
「それに、消毒液の臭いも嫌ですし、鬼の注射って大きいんですよ」
現世の注射は、痛く感じないように細くなっている。
鬼は皮膚からして人間とは違うため、そんな細っこい針なんかじゃ貫くことは到底できないのだ。
だからその数倍の太さ、大きさが必要になるので、見た目からしてかなりの威圧感がある。
「注射の列を見るのは好きですけど…」