[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
地獄博物館内、みっしり植物園に2人と3匹はやって来た。
「わあ、すごーい」と、現世植物以外はあまり見慣れないシロ達が興味心身で、周囲を見回しながら2人に私達に付いてくる。
地獄博物館があることは知っていたが、普段は金魚草以外の植物を積極的に見ることはなく、茄子と絵の具の材料探しや彫刻する程度にしか触れ合ったことは無かった。
いや、昔は木登りやらかくれんぼにも木は役立っていたっけ。
とにかくその程度の関心しかなかったが、こうやって楽しそうにする他者と連れ立ってなら楽しく感じる。
それがなんとなく嬉しくて、私はニコニコと口角が自然と上がる。
植物園とは言え、ここは地獄なのでなんだかザワザワと騒がしい。
鬼灯はよく来ているのか、案内をしてくれる。
「最初は毒草ゾーンです」
「RPGの敵っぽいヤツが沢山いるな」
柿助は毒草のそれらから少し距離をとりつつ、神妙な顔でじっくり観察しているようだ。
その横で、ルリオはシロを見て早速釘を刺していた。
「シロ、食べるなよ。お前はなんでも口に入れるからな」
「あ、シロさん。これなんだか覚えてますか?」
鬼灯が指差したそれは、棘のある葉の少ない木だった。
シロはなんだかよくわからないようで、首をひねって考えていた。
「受苦無有数量処って行ったでしょう?」
聞き覚えのある言葉にある男を思い出した。
「ああ、一寸(法師)の居る処だよね」
「あ、あそこかあ」
「この植物は"抜草苦(ばっそうく)" 亡者の傷口に植え付けると、根を張り育つ毒草です」
傷口に植えるところから既にかなり痛そうだ。
更には立派に育って己を蝕み、その重さに潰されてゆくのかと想像するだけで気分の悪い罰である。
そこへは、悪口や嘘で誰かを貶めたりするような者が落ちる地獄なのだが、ご近所さんの悪い噂をでっち上げ、追い出そうハブろうとするような人が落ちるそうだ。
他にも例は沢山あるが、このくらい…と安易に悪意を出すことが間違いであるのだろう。