[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第11章 草葉の陰
金魚草達は我々など眼中になく、自由に騒いでいる。
「おぎゃ~」と泣くモノもあれば、「あり~おり~はべり~」と泣いたり、ハミングまでしている金魚草もある。
「環境が合っていたのか、段々増えましてね。 特に美しいと思ったものをまとめて植えたりしていく内に、どんどん大きく鮮やかになり…結果、今の形になりました。改良というか、成り行きですね。」
「どうして自生していたんだろう?」
私はそう呟いて、腕を組んで首をかしげた。
そもそも、金魚草はどうしてそんな場所で自生していたのか、そこに些かの疑問を感じたのだ。
それに答えるように、鬼灯は続けた。
「何でこれが自生していたのかは解明されていません。『現世の金魚草が、亡者の亡骸を養分に育ち、金魚の霊が乗り移ったのだ』と言う人も居ます」
「結局、植物か動物か、オバケかもよくわかんないですね」
「わかりません。何せ、立って歩いたとか、人に化けたとかいう話もあるそうですから。…何を訴えて泣いているのかもよくわかりませんし…」
中庭で座敷童と金魚草が未だに共鳴していた。
低いような高いような、不思議な声で「あ"~~~~」と、声高く叫んでいる。
それを3匹は妙な表情で見ている。
「…あの双子は何かわかって共鳴してるのかなあ……」
妙な空気が私にまで伝わって、やはり妙な気持ちになる。