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[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]

第11章 草葉の陰


ここは閻魔殿の庭
鬼灯と珀訪が丹精込めて栽培している、金魚草が所狭しと育っている。
最近では珀訪が個人的に改良を施している区画があり、そこは額の瘤の特に大きな金魚草が数本、瑞々しくもブリンブリンに育っていた。

2人の小さな幼い少女の風体をした、一子と二子という名の座敷童が居た。
金魚草を見上げ、金魚草もまた座敷童の2人を見つめている。
と、なんの前触れも無く、それらは一斉に大きな絶叫をあげた。


「オギャアアアアアアアアァアアアアアァァアアアッッーーー!!!」


女童とは思えぬ形相で、同じくして2人も絶叫す。


「おぎゃァああああああアあああああああ!!!」
「おぎゃぁあああああああああああアああ!!!」


たまたまそこを通り掛かった私と、鬼灯、シロ、ルリオ、柿助の2人と3匹は、その声に気付いて足を止める。
さほど珍しい訳ではないが、響き渡るほどに共鳴し合うそれらの声は、何者であろうと気を引く力があるようだ。

シロは思いついたままに、鬼灯を見上げて問いかけた。


「ねえねえ、鬼灯様。金魚草ってさあ~……何?」


「何?」と言われても漠然としすぎていて言葉が出ないのか、少し、黙って金魚草を見つめていた。
私自身もよくわからないままに育てており、愛着云々以前の問題で、興味があるかと問われれば、どちらかと言うと食用程度にしか見ていなかった。

シロは続けて問いかけた。


「改めて何?あの草… 草?」


一応、植物…なのか?私もつられて混乱し始める。
特に返答をしない鬼灯に、ルリオは声をかける。


「アレって鬼灯様が品種改良なさったんですよね? 最初はフナか何かだったんですか?」


具体的な質問に、やっと鬼灯は言葉を発する。


「…ああ、品種改良と言っても、こういう…科学的なアレとか、DNA実験とかそんな感じではないですよ。 随分昔ですが、あの世とこの世の境あたりで自生する金魚草を発見しました。発見当初はかなり小さかったです。 "見たことが無い"、"明らかに現世の植物ではない"の2点から、とりあえず全て閻魔殿の中庭……まあ、此処に植え替えてみました。」
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