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[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]

第9章 鉄を熱いうちに打つのは大人


「ああ、でも。茄子さんとか 一見すると問題児ですけど、素直で見ていて安心するところがありますし…」


鬼灯が獄卒の問題児である、茄子の名前を発すると、鬼蓮がハッと顔を上げた。


「茄子君ですか!」

「あら、副校長先生、ご存知なんですか?」

「ええ、あの子もウチの児童でしたよ」

「そうなんですか、世間は狭い」

「いや~よく覚えてますよ」


鬼蓮は懐かしそうに微笑んだ。
私は私の知らない茄子を知る機会にワクワクした。


「何せ、しょっちゅう問題起こして、仕舞いにゃ母親が週一で校長室に自主的に来てましたからね。自主的に。」



茄子の母親は校長室で今週も土下座し、伺いをたてる。
当の本人は楽しそうにはしゃぐが、母親としては抑えきれないこの子の本質なのだから、せめてこれくらいせなばならないのだろう。
気苦労の耐えないこの女性に同情すらする。


『今週はなにかやらかしておりませんでしょうか』

『イヤイヤ、今週はいい子でしたよ~』


「あのお母さん、苦労してるな」

「変わらないなあ、茄子くん…」


2人して知人の背景を知り、同調するような気持ちになる。
だが、鬼蓮はひょひょひょと奇怪な笑い声をあげてなんでもない風に話す。


「極端なところは似た母子でしたけど、2人共、人はよかったですよ!」


あまり詳しく茄子母を知らぬ私ではあるが、彼を見ていて決して1度たりとも彼の中に悪意を感じたことは無かった。
そんな茄子の母が悪い鬼だなんて想像すらできないし、鬼灯からの話でも、とても温和そうな方だと判断していた。
鬼蓮の言葉を聞いて「やっぱりなあ」という心持になる。


「よくも悪くも躊躇しない人ですからね、茄子さんは。しかし、獄卒には適した才能なので採用しました」


面接時ですぐにわかるほどのソレは恐らく隠し切れないものだったのだろう。
だがそれが獄卒としての必要な才能である。
私は面接に参加していないどころか、正式に言うと獄卒ではないので、参加することは出来ないのでよく知らないが、見れるなら是非その様子を見たいと想像していた。

そこでふと


「あ、茄子くんがココ出身ってことは、唐瓜くんも?」

「あ、唐瓜君ね!」


やはりか。
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