[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第9章 鉄を熱いうちに打つのは大人
少し歩くと、調理音が聞こえ、鼻腔にはミルキーで芳醇な香りが届く。
鬼灯もそれを感じたようで、なんとはなく窓を覗き込んだ。
「何かいい匂いがしますね」
「もうすぐ昼食です。今日はヤモリ入りのクラムチャウダーです。後でご夫妻もどうぞ」
「へえ、最近の給食って随分豪華になったんですねえ」
「ええ、昔はコッペパンと蛙の2品くらいでしたけどね~」
「ヨーダ先生だ」
「マスターヨーダ、隣の黒い人ダースベイダー?」
「じゃあ あの女の人はレイア姫?」
「コラ!」
「子供って秀逸なアダ名つけますよね」
「レイア姫…(誰だ)」
スターウォーズに明るくないので黙っていると、後で鬼灯が軽く説明してくれた。
マスターヨーダは鬼蓮先生によく似た外見で、主人公の師匠らしい。
ダースベイダーは主人公の敵の頭。
レイア姫はヒロイン的な位置付けの女性だそうな。
つまり、ここに主人公など居ないと言う事か!それだけ理解した。
子供達は少しマスターヨーダこと、鬼蓮と話してから教室へと戻っていった。
「一学年、何クラスぐらいですか?」
「一クラス40人で10クラスはありますね。ほとんど鬼ですが、野干の子なんかも居ますよ」
「へえ~」
歩きながら雑談しているとすぐにどこかの部屋からか歌声が聞こえてくる。
「そっちは音楽室です」
子供達の無邪気そうな声で鬼の歌が聞こえてくる。
その教室の並びにある廊下の掲示板には、音楽室掲示板と名付けされ、いくつかのポスターが所狭しと張り付いていた。
「随分歌手のポスターが…」
「全員うちの卒業生なんです。この学校は大きくて古いですから、多いんですよ」
「あ、この二人」
私は見覚えのある顔を見つけ、指差した。
「二人共この学校ですよ。学年は違いましたけど。しかし、アイドルになるとはねえ」
鬼蓮はしみじみと話した。