[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第8章 恐怖屋敷
お香はなにやら閃いたようだ。
「オバケ屋敷って要するに、正体不明のものに襲われると思うから怖いんじゃない? 幽霊じゃなくても、身の危険を感じさせる見た目のものは怖いのよ。逆に言うと本物のオバケでも…」
”「暗いなあ、何か出そうで怖いなあ」
男が薄暗い田舎の夜道を頼りない外灯を頼りに、家路を急いでいた。
余りに静かで、虫の声すら大きく聞こえる。
その時、突然傍の木々がガサガサと音を立てる。
誰だ!?何だ!?
「やあやあ、おばけナリよ~」
「!?」
そこには桃色の愛らしいネグリジェとナイトキャップに身を包んだ、カピバラにウロコが生えたようななぞの生物が二足歩行で俺に挨拶をしてきた。
ふむ、なんだこれ。
なんだこれ!????”
「これは人間もさして怖がらないと思うわ」
「フザけてるもんな」
「コレを想像したお香さんの発想、嫌いじゃないですよ」
「うん、むしろ好きだわ」
「…」
唐瓜はお香を好きだそうだが、流石に意味不明だったようで言葉を失っていた。
私と鬼灯的にはこの謎の発想がかなりツボで、関心しきりであった。
が、鬼灯はここで腕を組んで思考し始める。
「ただ…今言った事をどうまとめて企画にするかですよ」
「そこが難しいわね……」
「オバケ屋敷の”ゾッと感”は人間になってみないとわからないのかもしれません…」
私は経験こそあれ、それを正しく伝えることは出来ないだろう。
感覚で言うともうすっかり鬼寄りである為、あの頃の恐怖心は”なんとなく”としか言い表すことが出来ないのだ。
○○の美味しさを正しく相手に伝えるとして、まるで△△のような風合いで~などと言われても、○○を知らなければ△△すら知らない相手には全く伝わらないようなものである。
価値観の根本が違うのだ。
5人は困ってしまい、黙り込んだ。
すると、それをいつの間にか起きて聞いていた閻魔大王がなにやら思いついたのか、話に入ってきてくれる。
「あのさあ~~”亡者を知る””怖い”の2点をクリアしている企画館なら思いついたよ」
「何ですか」
「珍しくワシにプロデュースを任せてみない?」