[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第8章 恐怖屋敷
"「いや~、私独身で楽しくやってるって!全然!楽だよ~。え、仕事?今充電中だってば~。うん!じゃあまた~」
― ピッ
「…」
静かな部屋、散らかった私の部屋。
仕事なんて無い。1人なんて楽しくない。でもどうしようもない、どうにもできない。
八方塞りで前にも後にも進めない。
「ふ、フフフ…、フフ、ハハ……あーはははははははははははは!!!!!ゲホゲホッ おふっ! フホホホホケホガハゲボッ!!」
涙を流しながら大笑いしてやった。
もうこのまま此処で死ぬしかない、私の人生はこれで終わりなんだ。"
「とか」
「それは怖いですが、見てていたたまれないです。」
「…決行シャレになってないしね…今の現世……」
私も以前、あちらの世界ではあるが現世で生きた経験があるからわかる。
就職難、ニート、浮浪者、生活保護問題などの自分が子供の頃から夢見ていた大人の世界が完全に問題だらけで、かく言う私も何度か壁にぶち当たったっけ。
嫁姑問題、いじめもツライが、どんなに真面目に生きようと社会からあぶれれば生きることすら困難で、その救済処置を受けると、それはそれで社会に叩かれる。
身震いする。
「というかね、私達獄卒は現世も地獄も知ってるけど、一般の鬼達はよく知らない訳よね? 普通に現世の日常とか、地獄に居る亡者の日常とかの展示でもいいんじゃないかしら」
「なるほど」
つまりお香は、地獄の刑場の事は獄卒以外の立ち入りが原則禁止である為、一般の鬼達は知らない事が多く、また、現世とは海外のようなモノで、旅行は可能ではあるものの審査が必要なため、一般の鬼達にはあまり馴染みが無い場所。
だから別に地獄の刑場を教えるようなものでも良いのではないかと言いたい様だ。
なるほどなあ、それは私達もよく知る事だし、やりやすいかもしれない。
「…確かに、一般鬼のマキさんは地獄の仕組みもロクにわかってませんでしたし、以前、タクシーの朧車さんも怖い話として乗せた客が生きていた。と、言って生きた人間を怖いと言っていました。」
「得体が知れないからこわいのよ」
そういうものか。
「あ!」