[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第8章 恐怖屋敷
「珀訪、今度の現世視察、貴女も来ませんか?」
「どこいくの?」
「遊園地ですよ」
「え?!」
当日、私達は現世ファッションに身を包み、現世、某所遊園地へとやって来た。
鬼灯は私が「これおもしろーい」などと言った、墓にBAKAと描かれた黒いTシャツを着、キャスケット帽、緩めのジーンズに、ナナメ掛けショルダーバッグ。
私は鬼灯が「いいんじゃないですか」と言った白いロングキャミソールに、パーカー、足首を見せた丈のジーンズ。白澤に貰った水色ストライプがかわいらしいインヒールのスニーカー、鬼灯とお揃いのナナメ掛けショルダーバック(色違い)を装備し、意気揚々と施設へと入った。
そこは賑やかで生気に満ち溢れており、能力を取り戻している私にはご馳走が遊んでいるようにも感じる。
栄養は足りているし、涎こそ垂らさないが…子供の生気は瑞々しくて美味しいんだよね。
「駄目ですよ、大人しくしていてください」
「はあい」
思考を読まれたのか、早くも釘を刺されてしまう。
ウロウロと何か参考になる物は無いかと園内を歩いていると”恐怖、地獄巡り”などと書かれたオバケ屋敷のような建物が目に入った。
「地獄巡りだって!」
「入りますか」
「楽しみ~」
フリーパスは購入していなかったので、その場にあった窓口でチケットを2枚購入。
入り口と書かれたのれんをくぐると、薄暗く、お経がBGMとして流れていた。
折角だしと、鬼灯の腕に抱きつく。
「怖いんですか?」
「こういう場所では嘘でもそんな風に振舞うべきかと思って」
「まずは『うん、そうなの』とかから嘘をつくようにして欲しかったです」
「うん、そうなのォ」
「このタイミングだと、意味が変わってしまいますね」
「ふふ」
くだらない三文芝居のやりとりではあったが、私はこうして鬼灯と一緒に何かをしたり、見聞きする視察は好きだったし、どんなにくだらなくても一応相手をしてくれるのは彼の優しさだと思っていた。
オバケ屋敷なんて微塵も怖くない。
ましてや地獄なんて家に帰るも同然なので、怖いなんて思っていたら生活なんて出来やしない。