[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第6章 この線路は続くのか:第四期
肩を落とし、近場の椅子に座り込み、床をぼうと見つめる。
白澤は本やガラス片を払い落としながら立ち上がり、鬼灯の方へ自分から歩み寄る。
「本当はわかってるんだろ。こんなことしても満たされないってさ」
「…わかってますよ」
「鬼灯が望んでいる珀訪ってどんなのか聞かせてよ」
「私が望むのは…変わらない珀訪です。昔のままの…。」
「変わらないと言うのは、難しいねえ」
私は隠れているように言われたので、暫し2人のやり取りをハラハラと見守っていたが、どうにも居ても立っても居られずに出て行った。
白澤は驚いたようだったが、鬼灯はコチラを一瞥しただけで、特に反応しなかった。予想していたのであろう。
「私は世界が、世間が移ろえばそれと共に移ろうモノだよ。それに、変わったのは鬼灯じゃないか」
「私が?」
「うん。私の鬼灯が、今はこんなに苦しんで泣いている。表情は少なくとも、前はあんなに幸せそうだたじゃないか。昔に戻ろう?やり直そうよ」
鬼灯の元へと歩み寄り、顔を覗き込んだ。
「私に会わなければきっともう泣かなくて済むよ。」
「珀訪!?一体何をッ」
「白澤、ごめんね。最期まで一緒に生きていく約束、守れないや。」
血の気の引いた顔で言葉を失ってしまった。
「鬼灯。今なら私を殺せるよ。鬼灯はまだまだ生きていられるから、きっとそのうち私以外の素敵な女の子と恋をするよ。そして可愛い子供に囲まれ、友達に恵まれるよ」