[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第6章 この線路は続くのか:第四期
「おま…やり過ぎだろ…」
「おや、これは警告ですよ。手加減して差し上げたんです」
「…知ってるぞ」
息を整えた白澤から聞こえる言葉にピクリと鬼灯は耳を揺らし、瞬きを2度、3度ほど繰り返す。
カウンターに縋りながらなんとか白澤は立ち上がった。
「ほう、なんですか?」
「お前があの頃から珀訪を見てたことだよ。」
「はあ、そうですね。」
拍子抜けだ。と言わんばかりに腕を組んでため息をつき、窓を見遣る。
「彼女をあっちの世界から帰れなくした事も」
「だからなんなんです?」
ギロリと白澤へ視線を戻し、威圧するように顔を覗き込んだ。
白澤はひるまずに続ける。
「向こうで何度も殺した事も知ってるよ」
― ダァン!!
鬼灯の裏拳で棚の方へと吹っ飛ぶ白澤。
クチと頭を切ったのか、血の筋が伝った。
それを袖で乱暴に拭いながら更に続けた。
「こっちでも自分の都合の悪い事があったらまた殺すつもりか!?珀訪はもう能力が消えかかってるんだぞ!!今度殺したら…!」
「そんなこととうに気付いてますよ!!!」
此処に来て初めて声を荒げる。
「私は不死じゃありませんので、珀訪の事だ。私が死ねばその内、貴方の事を受け入れるでしょう。貴方と同じで彼女もそういう意味では切り替えの早い方ですから」
「だからなんだって言うんだよ…」
「考えるだけで心底憎らしくなるんですよ。貴方も珀訪も。…そして私自身も」
「…お前」
「私もいっそ、白澤さんのようであればもっと上手に珀訪を愛する事ができたんですかね」