[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第5章 仙桃の花の香り:第三期
それにしても、ここ暫くは1日に1度は来ていた白澤が急に3日も日を空けるなど、どうもおかしい。
何か気付いたか?それとも、流石に納得したのか。
なんにせよ、珀訪には誰が来ても返事をしないように言いつけてある。
返事のない相手を見つけるのは困難だろう。
「さて、仕事も片付きましたしそろそろ(食事を持っていってやりますか)」
「鬼灯くん、お疲れ様」
「お疲れ様です、大王」
疲労した身体を自分で揉みながら部屋へ戻る。
扉が開いている。
慌てて部屋に入ると、隠し扉が開いており、身体の芯がスゥっと冷えた気持ちになった。
「珀訪!!?」
隠し扉を抜け、珀訪の居る部屋の扉のドアノブをひねる。
ここの鍵も既に開錠されていた。
勢いよくバンッ!と開いたが、中には誰も居なかった。
残るのは珀訪が時折、香りを愉しんでいた桃の髪飾りの匂いだけ。
鬼灯は膝から崩れ落ちた。
地に手を着け、思考した。
何故、珀訪は鬼灯を置いて行ったのか。
誰と行ったのか。
それとも、なにやらかキッカケを得て能力を取り戻したか?
それより、どこへ向かったのか。
夜更けに、鬼神の咆哮が響いた。