[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第5章 仙桃の花の香り:第三期
「鬼灯様、最近なんだかお加減が宜しくないようですけれど、大丈夫ですの?」
「お香さん。はい、ご心配をおかけしまして、大丈夫です」
「そう?きっと珀訪さんがまだ帰られないからお寂しいのかしらね、いつ頃戻られる予定なのかしら?」
「(女性とは皆どうも察しが良くて困る…)」
鬼灯は腕を組み、空を見上げ「そうですねえ」などとつぶやいたきり黙った。
「あ、あら。時々電話とかなさっているようだったからご存知かと思ったんですけれど」
お香は少し慌てる。
「申し訳ありません、急ぎの用がありますので」
「お引止めしてごめんなさいね、それでは私もこれで」
会釈をし合って別れた。
お香さんは物分りの良い女性でよかったと一安心したが、これからも隠し続けるのは多少心苦しさも感じる。
だが、アレはたとえ大王でも、女性でも、ましてやあのスケコマシの目にも入れたくない。
声も聞かせたくないし、気安く触れてよいようなものではないのだ。
珀訪は私の宝物であるべきで、宝物は大事にしまっておかねばウッカリどこかに失くしでもしたら、取り返しのつかないことだろう。