[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
「え、珀訪さんなら来ていますよ。黙って出てきてらしたんですか!?知りませんでした、すみません」
「いえ、気付かなかった私が悪いのです。」
「差し出がましいかと思いますが、今日実は珀訪さんすごく落ち込んでいらしたようで、せめて夕食でもと俺がお誘いしたんです。あまり叱らないであげてください」
「そうですか、いえ、こちらこそご心配をおかけしまして。…白澤さんは?」
「今は多分奥に」
「桃太郎さんだから言いますが、実は少しありましたので何処かへ行って帰ってこないのでは、と、心配の余りここまで探しに来てしまったのです。でも、居所さえ確認できればそれで。珀訪には落ち着いたらいつでもいいので帰ってくるようにと、それだけお伝え願えますか?」
「いいんですか?」
「はい、私ではどうにもならないこともあるでしょう…」
「わかりました、伝えておきます」
「もし、ご迷惑になるようでしたら無理やりにでも連れ帰りますので、少しの間だけ」
「気にしないでください、俺が責任もって預かります。白澤様もできれば居てほしいみt…」
「あのスケコマシからは極力離してくださいね、手でも出されたら私の生涯をかけて殺しに来ることになりますので」
被せ気味に怖いことを言うなあと、2人で震え上がった。
再度決心し、鬼灯の前に出る。
多少驚いたようだが、静かに私を見下ろした。
「色々とすみませんでした。でも、無事で安心しました」
「私もごめん、混乱しちゃって黙って飛び出した、もう、帰りたい。帰ってもいい?」
「…」
戸惑い、言葉を選んでいるようだったので鬼灯の腕を掴んで出入り口へと引く。
「桃太郎くん、またご馳走になるね、今日は本当にありがとう。おやすみなさい」
私は無理やり笑顔を作る。
無言で私を見つめる白澤が視界に入る。
なんだか少し寂しそうに見えた。
「白澤、またね!」
「うん、気をつけて。それより、おい鬼灯!」
「なんですか?」
「何やったか知らないけど、そういうのエゴって言うんだぞ」
「わかってます、失礼します。」
地獄に近づくにつれ、薄暗くなる道を2人で手を繋いで歩き帰った。
鬼灯は「すみません」としか言わないし、私も「ごめんね」くらいしか言うことがない。
部屋に着いた私達は初めて背中を向け合って眠りについた。