[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
夕食の準備をしてくれている桃太郎の傍に立ち、その手際の良さに感心しつつ様子を伺う。
「何か手伝おうか?」
「いえ、ありがとうございます。どうぞ珀訪さんは座っててください、すぐ出来ますよ」
柔らかく微笑む彼に一瞬、ズキュンと心を打ち抜かれそうになった。
美男子と言うわけではないが、彼の魅力とはもっと深いところにあるのだろうな。
「珀訪ちゃん珀訪ちゃん、桃タローくんもそう言ってるし、僕らは大人しくまとうよ、ね?」
オイデオイデと手招きされ、それに従う。
白澤の隣になんとはなしに座ると、何故か私の手を撫でてくる。
「桃タローくんの料理は本当にすごいんだよ、美味しいし健康にもいいんだから」
「うん、ちょっと香辛料的な香りがするね」
「中国料理もこちらで覚えて、アレンジしているうちにそういうのが好きになっちゃって」
「いいねえ、私、中華結構好きだわ」
などと話していると、店の方から扉の開く音が聞こえる。
「ごめんください」
「え、鬼灯様?」
あ、そうだった。
黙って出てきたのを忘れていた。
「なんだろう」
「ちょ、白澤…、私黙って出てきた!」
「え!」
「ごめんください、桃太郎さんか白澤さん居ますか」
小声で白澤ににどうしようと縋る。
その間、桃太郎は「はーい」と店へと出てしまう、私は嫁3ヶ条を1つ破っているわけだが、どう処分されても仕方のない状態に気付いた。
「と、とにかく僕の部屋に行ってて、なんとか追い返すから」
「駄目駄目駄目!!」
「どうするんだよ」
一息つき、決心をする。
「出る、ご飯食べられなくてごめんね。また来るから」
白澤の静止を聞かず、店へと出る。
が、桃太郎と鬼灯がなにやら話していたので物陰から様子を伺ってみた。
後から追いかけてきた白澤も私の上に顔を出す。