[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
「だとすると、その封印だとかをどうにか説けば元通りなんだね?ほかの事はもうどうでもいいさ、とにかく能力を取り戻したい」
「けれど、何が封印のスイッチになっているのかがわからないんだよね~」
「や、役立たず!」
「え~、すっごく役に立ったと思うけど」
「解決してない!」
「そうだねえ、ま、一緒に探してやるからさ」
ぽいと書物を地べたに放り投げ、私の横に座る。
肩を組まれ、ふんわりと白粉のような香りがした。
「もうここに住んじゃいなよ」
「え?」
「そうだよ、そうしよう!そうすれば僕がなんとかしてその封印を説いてあげるのも早くなるし、あんな意地悪な鬼とも会わないでいいようにするからさ」
「意地悪なんかじゃないよ、いつも、優しいし」
「優しい?やさしいヤツが封印なんてするのかな?その告白だって自分が罪悪感から逃げ出すためにしただけで、キミが聞かなけりゃずっと黙ってたかもしれないよ」
「それでも、住む事はできない。」
「どうして?」
「私は鬼灯の嫁だから」
私はあの男を1人になぞできない。
私は鬼灯の嫁、胸を張って大声で言える。
誰にもそれは覆しがたい事実なのだ。
「わかったよ、でも時々は顔を見せてよね」
「うん、ありがとうね。迷惑かけるね」
「気にしないでいいよ、まあお茶でも淹れるからさ」
桃の葉で淹れたお茶は、甘い香りが心地よかった。
話せてよかった、存在することが出来ないわけではない、制限されていただけなのだ。
ただ、それだけのことだったのだ。
その日は白澤に懇願され、夕食をご馳走になってから帰ることにした。