[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
私の顔を下から覗き込んで優しそうに、そしてちょっと困ったような顔をして、黙ったままになってしまった私に話しかける。
「ねえ、本当にどうしたの?僕に話したいことがあるんでしょう、いいよ、なんでもするよ?」
「…」
「鬼灯?やっぱあいつは駄目なんだよ、珀訪を幸せになんかできやしないんだって」
「…」
「昔みたいにさ、僕と遊ぼう?他の女の子とはもう遊ばない。僕だったら珀訪だけをいつまででも大事にしてあげられると思うよ?」
「…」
「ねえ、珀訪」
1つ質問する毎に彼の表情が曇ってゆくので、私はついにクチを開くことにした。
「ありがとう、鬼灯のことなのはそうだけど、そうじゃないんだよ」
「どういうこと?」
「実は…」
私は白澤に金魚草畑の前で聞いた話をした。
もろもろは省略したが、重要な部分だけを話した。
「私をあちらから呼び戻すために用いた術について教えて」
「うーん」
白澤は立ち上がると、本棚から数冊の書物を取り出して私にわかりやすく説明してくれる。
当時、白澤が教えてくれた術であちらの世界へは行けるが、それによって新たな人間なり転生し続けることはまずありえないそうだ。
なぜなら、私は存在するだけの存在なのだから、こちら側で存在しないと言う事がまずあり得ない、。
つまり、向こうでなにかあったとしても、向こうで転生する訳がない。
するならこちらに戻るはずなのだ。
また、こちらに人として転生した私を呼び戻してもただの人のはず。
だから能力を失ったのかと言うと、どうも違う、らしい。
なにかしらの術により"元に戻れた"のは確かで、別件で封印もされているというのだ。
最初からわかってたなら言えよとも思ったが、会うことも出来ないのにどうやって判断しろって言うんだと己の心の声に言い返された。