[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
店の引き戸を乱暴に開けると番頭が目を白黒させていた。
「へえ、姉さんなんだい。働きたくって来たのか?」
「今すぐ、白澤を呼んでくれるかい!?」
「白澤の旦那を?いやいや、そりゃあ出来ねえ」
「ここに居るって事はわかってるんだよ!」
「もし居らしたとしても、大事なお客様の邪魔はできねえよ。帰ってくんな」
あまりにも事が上手く運ばないことに全身が沸騰したようにザワつき始める。
皮膚の表面に膜が張ったように感じ、視界がグンと広くなる。
「あんたらの店の都合だとかはどうでもいいんだよ、私が白澤を出せと言ったら黙って出せばいい。せめて私が来た事を伝えてくれと私は言いたいんだがね、わからんか小童よォ…」
「うぐっ、そんな怖い顔をするなよ…、わかった伝えてやるけどもし旦那が断ればそのまま帰ってもらうぜ、いいな?」
「…それで構わん、珀訪が表で待っていると言え」
「珀訪さんだね、承知した。」
すぐに店の子を呼び、白澤の居る部屋へと伝達してくれた。
ようやく少し落ち着いたが、まだザワザワとした心持に手元が落ち着かない。
あんなに怒る必要なかったよねと気付けば、どうにもこうにも恥ずかしさがたつ。
迷惑にならぬようにと店先へと出たのは正解だったかもしれん。