[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
「白澤さんとはどういうご関係なんですか」
「友達」
「どれくらいの付き合いなんですか」
「白亜紀くらいから遊んでると思う」
「身体を重ねたことはありますか」
「ないけれど、あいつの裸を見たって驚かないよお」
随分疲れているのだろうか、くだらないくらい些細なことを聞いてくる。
でも、今の鬼灯にとっては重要なことなのだろう。
ここで適当な嘘をついて後で取り返しのつかないことになることは避けたかった。
他にも色々と質問してきたが、半数は白澤絡みの質問ばかりだった。
鬼灯は休憩時間を少し過ぎて仕事へと戻っていった。
戻るときにはすっかり普段の鬼灯で、ほっと胸を撫で下ろした。
「すみません、取り乱したりして。以後気をつけます」
「珍しいものが見れたよ、いつでも胸を貸してあげるさ」
私より頭が高かったので、鬼灯の胸をぽんと叩く。
が、その手を不意に掴まれた。
「ありがとうございます、ですが私はこういう男なのです。1つだけ貴女に謝らねばならないことがあります。」
私の手に口付けながら続けた。
「貴女の能力は私のせいで使えないのです」
何もかもを思い出す瞬間も驚愕的だったが、これには心底驚いた。
一瞬でも彼を疑ったことは無かったし、誰かのせいだなどと想像すらしたことが無かったからだ。
「ま、またまた~、冗談ばっかり!」
「事実です」
「だってそんなこと、鬼灯が出来るなんて」
「言ったでしょう、言えない事があると」
そう、以前たしかにそんなことを言っていた。
だけど、それは私をこの世界へと引き戻す為にした事だと信じていたし、何故それが私の能力減退に繋がるのか理解できない。
戸惑っていると、鬼灯は「また夜にゆっくりご説明しますので」そう言って私を1人、金魚草の群れの前に置いて行ってしまった。
私はもうどうしようもない気持ちになり、こっそりと閻魔殿を1人で出て行った。
誰にも伝えずに、衆合地獄の花街まで急いだ。