[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
食堂では、先に閻魔大王が着席していた。
鬼灯は私の分もとって来てくれると言うので、甘んじて先に大王の居るテーブルへと向かう。
「大王、お疲れ様あ」
「珀訪ちゃーん、ありがとねえ。お疲れ様」
「今日もお肉?おいしそうだねえ」
ジュルジュルとヨダレを垂らしそうになるほど香ばしい香りが鼻腔をくすぐってくる。
ジュワーッと言う、鉄板で肉の焼けるこの良い音がまたたまらない。
「ふふ、なんかハマっちゃって」
「サラダもちゃんと沢山食べないと、また太っちゃうよ?」
「そうだねえ、そうだ!夜ご飯、3人で一緒にお鍋屋さんにいこうよ」
「もう夜の話?でも、嫌いじゃないよお~!」
食に対しての会話にしてはどことなくゲスい話し口調で2人は鬼灯を抜いたまま、夕食の話をしてしまう。
私達は食同盟なのである。
美味しい物を食べて、美味しいと感じることが当同盟の唯一にして最大の規約だ。
「何のお話ですか?珀訪どうぞ」
「いえ~い、ありがとう鬼灯い!!」
やっぱり!今日の献立は肉が目玉だったようで、閻魔大王と同じランチが目の前に置かれた。
これを初めてしたとき、周囲にはかなり驚かれた記憶がある。
閻魔大王と鬼灯は大食漢で有名になって久しいが、それと同量を私もペロリと平らげることが可能だ。
本来、エネルギーの摂取は己の存在を維持するために必要な分。
つまり、術を使うための妖力だとか、幼少体から成人体へと変化するための質量の確保だとかを目的として食事したり、生気を吸い取ったりする必要があった。
なのに現在はそれらが殆ど出来ない状態にもかかわらず、この量を摂取するのは、ただの底なし胃袋であったことを証明するような気がする。
そう、暫く食べなくても別に術の1つや2つ、容易に使用できていたんだよねえ。