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[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]

第4章 嫁の理/鬼の業:第二期


部屋にたどり着いた私達は他の書類に追われる獄卒達の邪魔にならぬよう、端の方で書類を広げる。
周囲を見渡すとかなり山積みの髪の束と、慌しく出入りする鬼達が見えた。


「茄子くん、何をしたらいいか指示してね、頑張るよお!」

「えっとねー、この赤線のある・・・」


周囲の迷惑にならないように少し声のトーンは落として会話した。
書類整理はさほど時間もかからずにまとまり、少し雑談をしている間に唐瓜は鬼灯と連れ立って戻ってきた。


「もお!茄子、探したんだぞ!」

「あ、ごめん」

「しかも珀訪さんに手伝って貰っちゃって、ほんとすいません」


本当に申し訳なさそうにペコペコと頭を下げる彼に逆に私が萎縮しそうになる。


「いやいやいや、気にしないでいいよお。私が好きで手伝ったのさ、はい、唐瓜くん。」

「本当すいません、ありがとうございます」


彼にまとまった書類を手渡した。


「2人でやったからダブルチェックも済んでるし、間違いないはずだよ。私、役に立ててたらうれしいなあ」


へっへっへと女らしからぬ笑いで頭をかく。
私は時々、褒める事を催促するクセがあるようで、よく「わかりやすくていいです」と鬼灯に言われる。
能天気にそれを喜んで、すぐ本人に話してしまうのも、簡単でいいらしい。


「本当に助かったよ、珀訪ちゃんありがとー」

「おま、こら!」

「・・・ほう」


腕を組み、唐瓜の後で立っていた鬼灯が手を顎に当て、茄子をチロリと見遣る。


「どういたしまして。唐瓜くん、茄子くん、お仕事頑張ってね」

「すいません、ありがとうございました!ほら、茄子いくぞ!」

「う、うん」


鬼灯の視線に気付いているのかどうか、2人はそそくさと立ち去る。
あれ?鬼灯は2人と行くんだと思っていたのだが、私に手を差し伸べて、立たせてくれる。


「仕事は?」

「休憩をとりました、昼食を一緒にしましょう」

「ふうん、今日は何を食べようか?」

「そうですねえ」


良かった、一瞬なにやら反応があったのでまた何かしでかすのではと一抹の不安を感じたが、杞憂で済んだようである。
チラチラと余力のある獄卒達に見送られ、私達は食堂へと向かう。
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