[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
今日は本当にデートのような瑞々しい1日を過ごした。
桃太郎はキッチリお使いの品をまとめていてくれたし、帰りは白澤が飛んでくれたお陰で交通費が浮いた。
鬼灯は白澤の店へ行っていた事を知り、彼を殴り帰していたが、髪飾りを見て
「あいつが選んだと思うと癪ではありますが、似合っていますよ」
と、キスをしてくれた。
ウットリとした心持になり、今夜の予定を聞いた。
「申し訳ありません、遅くなると思います」
「嫁のケアは夫の務めではないのかねえ?」
責めるように問うが、答えが謝罪であろうと追言する気もない。
「出来る限り早く帰りますから、起きて待っていてくださいますか?」
その夜、なにをどうしたのか、予想よりもずっと早い時間に仕事を終わらせた鬼灯と深い夜を愉しんだ。
ところで、子供ってできるものなの?
「あ、おはようございまーす」
「おはようございます、珀訪さん」
「おはよう、鬼灯を探してるの?」
「実はそうなんです」
「そうだなあ、三途の川の方へ行ったと思うけど、もう30分くらい前だから自信は無い」
「そうですか、ちょっと俺行ってくるよ、茄子は書類頼む」
「うん」
閻魔殿で私のお気に入りのコンビだ。
白い髪の三つ角の茄子、黒い髪で二つ角の唐瓜。
2人は仲がよく、面倒見の良い唐瓜と、芸術家肌の茄子とで素晴らしいバランスだと思う。
走って行く唐瓜を茄子と2人で見送る
「茄子くんや」
「なんですか?」
「私は暇、なんだけど」
ニヤリと横に立つ茄子を見遣る。
これは2人の合図で、ちょっとお仕事でもお手伝いしましょうか?と言う意味。
ぱっと明るく笑い、手に持った分厚い書類を私に向かって見せてくれる。
「じゃあ誤字のチェックだけ手伝って欲しいな!」
「了解、キャプテン~」
「やったー!」
きゃっきゃと2人してはしゃぎながら机のある部屋へと向かう。
私は茄子の肩を持ち、電車ごっこのような感じで移動した。
時折すれ違った獄卒達は微笑ましそうに視線だけ向けたが、お互いに特別用事も無いので声をかけられることはなかった。