[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第4章 嫁の理/鬼の業:第二期
現在の私は、鬼灯の嫁として基本原則の3ヶ条を守りつつ、閻魔殿にあった彼の部屋を少し広げてもらった部屋に同居している。
式やらなにやらは「落ち着き次第、考える。」と宣言したまま、もう随分日が経った。
元居た別の私はあのまま普通に生活しているようだと白澤に聞き、胸を撫で下ろしたのはまだ最近のことではあったが、当時体験して培った経験による記憶は所持していた。
また、更に昔の私の記憶は取り戻しはしたが、あの時の様にあちらへこちらへとは気軽に旅なんて出来ない状態になっていた。
記憶の中の私は、鬼灯よりも強く、白澤より頑丈であった。
それなのに、今の私は白澤との腕相撲にすら負け、閻魔殿に住む座敷童たちの悪戯に驚いて転んだだけで打ち身をし、後で青痣を見て驚いている。
昔はほんの数分で重篤な怪我すら無かった事かのように消えていた為、こんな打ち身程度に一晩も二晩もかけているのは信じられないことであった。
私を特によく知っている、閻魔大王、鬼灯、白澤、お香。
この4人はこの事実を知り、私以上に驚き、気を付けてくれている。
私はそこいらの亡者より弱っており、鬼と共に仕事など手伝えるわけもなかった。
「鬼灯い、私とてつもなく暇なんだけど・・・」
「そうですか、忙しいので本でも読んでいてください。お好きでしたでしょう?」
「鬼灯の部屋の本も、閻魔大王の部屋のも、みんな読んでしまったよお」
「ええっ、珀訪ちゃんいつの間にわしの部屋に入ってたのお!?」
「大王、仕事に集中してください」
「あはは、ごめんよ。あんまり暇だったので先週は大王の仕事中に入り浸っててさ」
「もお~、まあいいけど」
「いいんだったら反応しないで貰えますか、後が閊えているんです。」
亡者や同僚の前ですら容赦なく金棒を閻魔大王の頬に突き刺してキツク指導している鬼灯。成長したものだ。
「痛い痛い痛い!!ちょっと、鬼灯くん、これじゃあ仕事になんないよ!」
「仕事に集中していらっしゃれば私もこんなことせずに済むのです」
「わかった!わかったってば!!・・・もう、いつも厳しいんだから」
「大王」
「つ、次の者!!!!!」
今の私にはきっとあの鬼灯が軽々と扱っている金棒も、大王の持つ大きな勺すらもロクに扱えない。