• テキストサイズ

[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]

第3章 記憶の酒瓶転がし候:第一期


私はその後、鬼灯が私の背を追い越した頃に姿を消してしまったのだ。
だが、約束は行われ、私は約束どおりに答えを出した。


方法はどう在れ、選択はされたのだ。

「随分と遅くなりましたが、貴女を連れ戻し、求婚もし、答もいただきました。私は約束を果たし、貴女も約束を果たしました」

「どうやって私を見つけたの?」

「私にも言えぬ事はあるのですよ」

「禁忌を犯し、己を追い込んだりしてはいないだろうね?」

「亡者が幾人か消えただけですよ」

「そう…、それは悪いことをしたね」

「亡者ですから」

「…」


深くは聞くなと言われた様な気がして、大人しく担がれたまま閻魔殿へとたどり着く。
沢山の視線もあるが、そろそろこの体制も疲れてきた。


「1人で歩けるよ?」

「…」

「もう逃げたりしないよ?」

「…」

「ねえ、鬼灯い?」

「…」

「折角の着物がこれじゃあ見せびらかすこともできないよ」

「…わかりました」


やっとのことで地面と足がくっつく。
あれから1日も経ってはいないが、もうすっかり日も暮れていた。


「どこへ行くの?」

「私の部屋へ」

「そうだねえ、少し、眠りたい気分」

「私は仕事がありますので、ゆっくり休んでください」


へいへい、と苦笑し、昔と変わらない中身で大きな図体の男の腕にすがり付いて歩く。
歩きにくいですよ。と言われても、それすら彼の甘えた言葉に聞こえた。
/ 99ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp