[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第3章 記憶の酒瓶転がし候:第一期
「あー、わかった。それより、色々ごめんなさい、実はなんだか混乱してるみたいで、よくわからないことが多いの」
「混乱、ですか?」
「ほら、着物とかもそうだけど私が今までどうやって過ごしてきたかハッキリ思い出せないって言うか」
「・・・私達の今までとか、ですか?」
あ、不安そうな顔、してる?
「えっと、その」
大きな掌が優しく頬を撫でた。
「大丈夫ですか?後悔してますか?」
「してない」
自然と答えがクチから出た。
なんだろう、このままでいいのかな。
「良かった、珀訪は珀訪らしく、そのままでいいんですよ。私が守りますから、必ず」
「うん、わかった」
私は私を見つけよう。
信じよう、鬼灯を。
もうこの話はしない、悲しませたくない。
私と鬼灯は人気の多い繁華街へと差し掛かる。
鬼灯が片手に大きな紙袋を2つほど持ち、私は「持つ必要ありません」などと言われたため、着飾り、手荷物もなく、彼の空いている方の手を繋いでいるだけである。
傍目から見れば、かなりの我侭彼女やら女王様だとかに見えているのではないだろうか?
これでも一応、プロポーズまで受けているし、婚約者…と、いうことなのだし。
「疲れましたか?」
ぼうっと色々なことを考えていると、心配してくれる声が聞こえた。
「いえ、まだまだ元気ですよ!鬼灯こそ、私の着物なのに重くないですか?買わせて持たせてってちょっといいのかなー?って」
「なんだ、そんなことですか。私も男ですよ、これくらい持たせてください。それに、私が好きでやってることなんですよ。貴女は私の大事な人ですから」
「! あ、りがとうございます」
カーッと頭に熱が篭るのを感じる。
まだ子供の私には刺激が強すぎる…、ん、子供?
足元を見下ろすと普段よりいくらか高い視点にいる気がする。
ガラス窓の前で私自身を見た。