[鬼灯の冷徹]鬼神の嫁の心得[パラレル→原作沿い]
第3章 記憶の酒瓶転がし候:第一期
色々と考えたが多くを語ると自分自身も混乱しそうだったのでこう話した。
「私は、鬼灯のことを感情豊かな頑張り屋だと思う」
こちらを見下ろし、ポカンと口をあけて立ち止まった。
あれまやっちまった?なんかまずいこと言った?
「初めて言われました」
「!?」
文章や画像では見られなかったとてつもなく珍しいものを私は見ることができた。
この夢から覚めたくないなあ。
だって、携帯を握り締めていたあのときとは違った気持ちがこの胸にいっぱい零れだしてきたから。
私はこれからこの夢から覚めない努力をしよう。
そう決めた。
こんなやり取りをしながら、私達はとある扉の前に辿り着いた。
「あら、珍しい!鬼灯様と珀訪さんじゃない。お久しぶり、どうなさったの?」
美しい着物を身に纏い、大蛇2匹を背後にチラつかせている女性が登場し、私は実に混乱した。
正直、蛇に限らず爬虫類はそれほど得意ではなく、かと言って嫌いだというわけではない。
しかし、目の前に大蛇2匹がチロチロと赤い舌を出し、私と視線を交わした状態、更には鬼灯にしっかりと抱きかかえられ逃げることも叶わないこの状況では別である。
もしもがあれば確実に私は毒牙、まさに蛇の毒牙によって致命傷を負うであろう。
「お香さん、折角の休みに申し訳ありません。事情があり、彼女の着物が消えてしまいまして」
「ちょっと、よくわからないんだけれども、お買い物にお付き合いすればいいのかしら?それとも私の着物をお貸しするべきかしら?」
「買い物をお願いできますか。お金は私が全て支払いますので」
もうクチを出すまい。
正直、なにをどうすればどうなるかすら想像できないほどに頭が真っ白になっていた。
こんなになったのはいつ以来だろうか、受験の面接の時だったかな?
それより、鬼灯がお金を出すって?
「ごめんなさい、後でちゃんとお金は返すから」
こっそり鬼灯に耳打ちする
「いえ、いいんですよ。これから珀訪のモノを用意していくつもりでしたし」
どういうことだろう?
まだ、私は私と言うキャラクターについて思い出すべきことがあるようだ。