第5章 一人の時間も必要…なんだよ?
『あ…!』
そうだった、先程まで荷物整理をしていたのだ。
無造作に置かれた服や下着が見える位置に置かれていた。
流石に下着を見られるのは恥ずかしい。
慌てて部屋に入りバッと下着を拐ってはキャリーケースに戻す。
『こ、ここれは…!その…見なかったことに……してもらえませんか?』
仁王「見てしまったもんは忘れん主義でのぅ。」
『そ、そんなー…!』
仁王「いちごに水玉…色気はないが、可愛いもんを見せてもらったぜよ…。じゃあ俺はこの辺で」
恥ずかしげもなく名前の下着の柄について話した後、部屋から去っていってしまった。
『もう…本当に最悪…。色気ないとか言われた…はぁ…』
深く溜息を吐きながら荷物整理を続けようと部屋に入れば、先ほど貰った箱を開けることなく無造作に机に置いた。
そして下着や服を畳んでチェストへとしまった。
また誰かに見られたら困る。
『一人でのんびりしたかっただけなのに…なんでこうなるんだろう…全く』
コンコン
『ん?はーいはい、今開けますよー』
数分経ってからまた誰かが来たようだ。
また男子だろうと思えば呆れたような声のトーンで返事をして扉を開ける。
藍沢「あ、名前ちゃん。ゆっくりしてるところごめんね?」
『藍沢先輩…!どうしたんですか…?』
藍沢「あ、うん!跡部くんに頼まれて。これ、良かったら使って?」
そう言って数枚のメモが渡された。
『何ですか…?これ…』
藍沢「名前ちゃんが、学校と部員の名前覚えてないって跡部くんから聞いて。だから私が前に使ってたメモを貸してあげようと思って」
『わぁ…すごい…』
そのメモには、参加メンバーの名前や学校。
そして学年など詳しい情報が書かれていた。
藍沢「私もね、前は名前ちゃんみたいに名前覚えられなかったりしてたから。良かったら使ってね?」
『あ、ありがとうございます!じゃあお言葉に甘えてお借りします!』
藍沢「うん、じゃあまた後でね?」
『はい!ありがとうございましたー!』
藍沢先輩はその場を去っていった。
その背中にお礼を言いながら手を振った。