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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第16章 似た者同士【田中龍之介】



「私たち、気が合いすぎでしょ」
「似た者同士だな」
「こんなバカと一緒か」
「お互い様だゴラ」

湿気に圧されていた教室の空気が、2人の笑い声で吹き飛んでいくようだった。

「…なぁ美咲」
「ん?」
「俺たち付き合うか」
「うん、そうだねー」

自然な対話だった。あくまでいつもと同じノリで、周りが聞いても気にも留めないような流れだった。
固まる田中の顔。
相反して、それに気付かない新海はケラケラと笑っている。

「…ちょっといいか美咲」
「うん?」
「俺の話は聞いてたか?」
「うん聞いてた」
「じゃあ、あれは冗談か?」
「…は?」

不機嫌そうな声色になる。
途端に新海の眉間にシワが寄った。

(あ、やべ)

田中は心の中でそう呟いた。
滅多に怒ることのない新海が眉を寄せたときは、本当に怒っている時だということを、田中はよく知っていた。
あのさ、と普段よりワントーン低い新海の声。

「確かに私が軽く返したのが悪かったかもしれないけど、私がああいうのを冗談で言うと思う?」
「…いや」
「私はさ」

新海は真剣な面持ちで言葉を続けた。

「私は潔子さんの次に龍が好きだよ」

田中は一瞬ポカンとした顔をしたが、すぐにくしゃっさせてと笑った。

「ああ…俺もだ、ゴラ」

明るくなり始めた窓の外。
いつの間にか晴れた空の、じりじりと地面を照りつける太陽が、真夏の訪れを予感させた。








「似た者同士」おわり
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