• テキストサイズ

【ハイキュー!!】青春飛翔論

第16章 似た者同士【田中龍之介】




梅雨の時期の、蒸し蒸しとした空気。
肌に纏わりつくような重たい空気は、どうやら人の気力も奪っていくらしい。

「あぢー…」
「あづい…」

2年の教室、田中と新海は並んだ2つの机に突っ伏していた。
放課後、いつもなら体育館でバレーをしてるところ。だが、今日は練習がない。
雨のせいで練習が出来ないテニス部が、大会前だから体育館を貸して欲しい、とバレー部に願い出てきたのだった。
滅多に休みのないバレー部員。さっさと帰る気にもなれず、2人は教室で暇を持て余していた。

「喉乾いた…」
「だな」
「龍、なんか奢ってよ」
「別にいいんだけどよォ…自販機まで行くのがめんどくせぇ」
「確かに…」

普段の有り余る元気はどこへやら。
確実に、暑さとこの湿気が、二人のパワーを吸い取っている。
ーーいや、彼らの英気を奪っているのは、それだけの理由ではなかった。

「…今日さ」
「うん」
「休みなんだってな」
「あぁ…ね。熱が出たとか」

二人は揃って大きなため息をつく。
そして、

「潔子さぁぁん…」

悲壮感の塊のような二つの声は、湿度の高い教室に、虚しく漂うのだった。

/ 143ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp