第15章 膝上のスカート【国見英】

「ーーあのさ」
「……」
「俺さ、結構頑張ってるんだけど」
「え？」
「美咲を襲わないように」
「お、おそ…？！」
「だからそれを不安要素にされるのは心外というか」
「す、すみません…」


なんだか、全部ばれているようだ。
恥ずかしいやら申し訳ないやらで、私は顔を俯かせた。
すると、頭にポンと骨ばった手が置かれる。


「焦ってもいいことないから。…ほら、こんなガチガチな状態じゃ、することもできないし」


急に腰を引き寄せられて、自分の身体が無意識に強張ってしまう。
自分の初心さ、というか何というか…いろいろと、凹む。


「ごめんね…」
「ゆっくりでいいから。本当にその気になるまで、待つ」
「…うん」


私が小さく頷くと、彼は私を自分の膝の上に乗せて、腰に回した腕にグッと力を入れた。
それに、と彼は私の耳元に唇を寄せて、


「美咲に"そういうの"を教えるのは俺のシゴト。他人の言葉で美咲が可愛くなるのは許さないよ」


と囁く。
ボッと顔が熱くなるのを感じた。
耳元から甘いリップ音が聞こえて、ビクリと身体が震える。
ひたすら甘い。ゾクゾクとくる刺激が神経を支配していくような感覚。
ふ、と彼が笑った。


「ゆっくりその気にさせてやるから、安心しててよ」
「あ、英くん、」
「さて…どうやって美咲を美味しくしようか」


その言葉に慌てふためく私を見て、楽しそうにニヤリとする。
そして、言葉を発しようと開いた私の口を、速攻唇で塞いだのだった。






『膝上のスカート』おわり