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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第26章 究極の暇潰し【縁下力】


哲学というのは、究極の暇潰しだと聞いたことがある。人間、本当にやることがないと哲学について考えるものなのだそうだ。
なら、古代ギリシア史に出てくる、かの有名なアリストテレスやソクラテスは、職業・究極の暇人というわけか。哲学者と書いてニートと読む…いやいや、歴史上の偉人の肩書きを不名誉なものに上書きするのは良くないな。目の前に座る、真の暇人を見やって、俺は勝手に1人で反省していた。

「ねぇ、縁下、聞いてる?」
「はいはい、聞いてる聞いてる」
「私はさ、私の周りにいる人間の中に自分とは違う存在の自我があるということが怖いなって思うんだよね」

高2は、どうしても中弛みとなってしまうの時期だ。だから、部活が急に無くなって放課後の予定が空っぽになった俺と、元から帰宅部の幼馴染は、こうしてファストフード店で無駄に時間を浪費しているのだろう。そして究極の暇潰しをしている(正確に言えば暇潰しに付き合わされている)。
Lサイズのジュースをズズズとストローで啜ってやけに真剣な顔をする幼馴染に、俺はしなしなになりつつあるポテトフライを摘んで適当に相手をする。ポテトもゆっくり食べれば意外に膨れるもので、少しお腹いっぱいになってきた。

「今もね、目の前の縁下が怖い」
「うん、俺も怖いよ、連れて行くのは精神科か脳外科かすごい迷ってる」
「縁下の中には縁下の自我が存在するわけでしょ?私の中にある精神体と同じものでありながら、それは縁下という違う精神体が存在してるってことじゃん」

ああ、聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた。中二の病を高2になって発症させるのは勘弁してくれ。というか「聞いてる?」って人に聞く割には俺の話は聞いてないじゃないか。俺は耳鼻科も検討しなくてはならないのか?
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