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【ハイキュー!!】青春飛翔論

第19章 グレーの生地【黒尾鉄朗】




「…とにかく」

おい、話をそらしたな。

「1個下の私には興味ないでしょ?」

ツンとそっぽを向く横顔は、どこか拗ねてるようにも見える。
そんな様子も可愛いとは思うが、それだけで終わるほど、俺は出来た人間じゃない。

俺はそのまま美咲を押し倒す。
スプリングがギシィッと軋む。

「何も言わないなら本当にこのまま襲うけど?」
「好きでもないくせに」
「…のわりには抵抗しないんだな?」

抵抗しないどころか、少し余裕があるようにも見える。
なんだ、こういうの経験済みなのか?若干ショックだ。

「…から」
「ん?」
「今日はそのために来たから」

えーっと。
冷静になれ、俺。

「…俺の解釈が間違ってなきゃ、お前、襲われに来たわけですか?」
「まぁ、そういうこと、かな」
「バカじゃねーの?」
「だってバカが相手ですもん」
「俺のことか」
「そーですよバカ」
「バカバカうるせー…」
「だってこうでもしなきゃ、黒尾サンの恋愛ゾーンには入れないんですもん」

カチッと俺の中でどっかのボタンが押された音がした気がした。
ちっぽけな自制心が辛うじて残ってはいるが、一体それが何の役に立つのか。
俺は一応力任せにはならないように気をつけながら、美咲の横顔をこちらに向かせて、無抵抗の唇を喰らった。
美咲の身体が反応を隠すようにグッと力んで、喉が可愛い音を鳴らした。
思ってたより断然柔らかい唇。なんだよ、これ。

「…てつろ、」

息継ぎの間に漏れる名前を呼ぶ声が、色っぽい。
キスをやめて少し顔を離すと、頬が上気して赤くなっている。それがまたエロい。

「…俺、ずっとお前のこと好きだったんだけど?」

すると拗ねたようにそっぽを向く。

「彼女作ったくせに…」
「お前がそんな素振り見せないからだろ」
「え、今までのアピール水の泡?」
「アピールしてたのかよ」

可愛くてたまらなくて、笑いを堪えられないでいると、怒ったのか、美咲は眉間に皺を寄せた。

「そーゆー顔そそります」
「ド変態」
「このまま襲っちゃうよ?おじょーさん」

私のこと好きならいーよ。という言葉をオーケーサインと受け取って、俺は可愛い幼馴染の羽織るグレーの布の中に手を滑り込ませる。
ベッドに華奢な身体が沈み込んで、そばの漫画の山が崩れ落ちた。






「グレーの生地」おわり
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