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第33章 chapter6 ①遺跡の中へ
あぁ、夢だ。
でも何か違う。
閉ざされた窓と、その向こうに見えるガランとした部屋を見つめるだけの夢。
見慣れた分厚いカーテンも、点々と置いてあった質素な家具も、渋々迎え入れてくれる部屋の主もいない。
誰も居ない、何もない部屋。
あの人はどこにいってしまったんだろう?。そう思いはしたが、不思議と探す気は起きなかった。
探しても見つからない。何となくそう思えていた。
足場の木から降りることすらせず、何もかも失せた部屋をぼんやりと眺めていた。
あの人と、この部屋で何をしたのか何を話したのか。思い出せない。姿も、声も。仕草も、私への振る舞いも。
この室内と一緒にかっ拐われてしまったみたいに記憶が曖昧だ。
ただ、"あの人"と。
そう呼ぶしかないほどに、記憶が、情報が……私の中から抜けている。
この部屋はなんだ?。誰かいた?。私が今の今まで立っていた木はどこ?。
なんで木なんかに登ってたんだっけ?。
あぁ……大切な記憶だった気がするのに、何も分からない。忘れたくなかったのに、奪われたくなかったのに。
イヤだ、こんな夢………早く覚めてしまえばいいのに。
こんな……酷い夢……………。