第22章 【R18】黒尾鉄朗 〜fault〜
研「綾瀬、ここ赤くなってる。」
研磨に手首の擦り傷に気付かれて私は一瞬鼓動が跳ねた。
『、、、なんでだろー、、あ!多分昨日転んだ時擦りむいたのかも!』
研「、、、へぇ、、。相変わらずドジだね。」
研磨の猫のような静かで鋭い目は、あえて言葉で問いたださないでいるだけで、真実を全部見透かしているような、そんな気がしてならなかった。
研磨とクロに挟まれて歩く帰り道。
小さい頃からこうやって三人で並んで帰った。
凸凹に並ぶ自分たちの影、17時の時報、茜色に染まる空。
昔と変わらないはずなのに、私たちはいつの間にこんなに拗れて、おかしな関係になってしまったんだろう。
黒「じゃあな、研磨!」
研「うん。クロも、綾瀬も、、またね。」
『バイバーイ!』
いつも別れる交差点で、研磨に手を振って私とクロは彼とは反対方向に曲がった。
黒「なぁ、手、俺のせいか?」
『、、、クロのせいじゃないよ。』
研磨と別れた途端に指を絡ませて繋がれた手を引っ張られ、擦り傷がついて少し赤くなっている手首をクロはペロリと舐めた。
黒「痛いか?」
『、、、っ、、、、。』
傷口に彼の唾液が染み、チクリと痛んで、顔を歪めると、クロはそんな私を愛おしそうに見つめる。
黒「コレは、お前が俺のだって証拠だからな。」
彼は切なそうな表情を浮かべ、繋いだ私の手を引き寄せて、唇にキスをした。
黒「今日、寄ってくだろ?」
『、、、、、、、うん。』
唇が離れるとクロはそう言って、私を支配するようなその深い闇のような目で微笑んだ。
あぁ、
何処で壊れてしまったんだろう。
私は、私を必要としている彼を”好き”とはまた違った、複雑でがんじがらめになった想いで、愛していた。