第1章 わたしのご主人様がえっち過ぎる件について
私、篠原奈々花は1ヶ月前まで人生のどん底にいた。
高校卒業と共に両親が事故で他界し天涯孤独となり、働いていたアルバイト先は経営不審で夜逃げをし、住んでいたアパートは火事で全焼してしまった。
こんな事ってある?と呆然と夜の街を歩いていたら数人の男達に絡まれてしまい、無理やり連れ去られそうになったところを一人の男性に助けてもらった。
それが今の私の雇い主である五十嵐貴久さまだ。
彼は私を助けてくれただけでなく、私の状況を聞いてすぐに「うちで働かないか?」と申し出てくれたのだ。
途方に暮れていた私は大喜びの二つ返事で了承した。
貴久さまがあの五十嵐グループの御曹司だと知ったときはすごく驚いたけど…。
そんなに大きな会社のお屋敷で働けるなんて安定性は抜群だと思い、精一杯仕事に努めると心に決めたのだった。