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黒鉄の君 ミカサ夢

第1章 1


で、今に至る。

「そういえばそんな感じだったねえ」
「ハンジさんとはもう4年の付き合いですねー」

ガチャガチャと部品をいじりながら談笑する。ハンジさんはあの頃からあんまり変わらない。エルヴィン団長は少し老けて、よりかっこよくなったように思う。
 
調査兵団に来てもう4年にもなるのだな、と少し感慨深い気持ちになった。いろんな人に会い、いろんな人が死んだ。私は今日も兵器を作っている。立体機動装置の保全も、私の部署の仕事だ。

しかしハンジさん、いつまでもここでダベってていいんですか。そう聞こうと顔を上げた時、入口の戸が開いた。

外の風が入ってきて、戸口に立った少女の髪を揺らす。両手に持てる限りの立体機動装置を抱えた彼女は、とても綺麗な黒鉄色の髪をしていた。

「ーーあの」
「はっ、は、はい、どうしました?」
「壁外調査に出る前に、整備をしてもらうようにと」
「ああ、そ、そうですね。お預かりしまふ」

噛んだ。いや仕方ない私わるくない。だってだってだってこの子の髪があんまりにも綺麗なものだから。細い髪の一本一本まで、磨き抜かれた鉄の色。ああよく見たら、その瞳までおんなじ色だ。

少女はその細腕でどうやって? と不思議になるくらい大量の立体機動装置を作業台に置いて、よろしくお願いしますと去っていった。

均整のとれた後ろ姿。光をはじく黒鉄の髪。

「...息したら?」

ニヤニヤ笑うハンジさんに言われてはじめて、はああああああと深く呼気を吐き出した。
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