第2章 目隠しの恋
私達は合流した後、個室のある居酒屋へと入った。
店内は薄暗く余程近くで顔を見ない限り知り合いかどうかなんて分からない。
オーダーを聞きに来た店員に先生はビールを、私はハイボールを注文した。
「そういえば」
フードメニューに目を落としながら先生が口を開く。
「この間西野に出会ったよ」
西野、というのは春樹の苗字だ。
先生の口から春樹の名を聞くことは珍しいので、私は思わず驚いた顔をしてしまう。
「祖母が入院しててね、見舞いに行ったとき会ったんだ」
先生はメニュー表を見たまま淡々と話す。
私は二人が何を話したか、なんてことよりなぜ春樹が病院にいたのだろうかという方が気になった。
春樹からは具合いが悪いなんて話聞いていなかったけれど。
「その様子だと聞いてなかった?」
「はい。どこか具合い悪かったのかな?」
こちらを見た先生に首を傾げると、彼はきょとんとした表情をする。
それから「あはは」と笑い声を洩らした。