-----フクオカファーストハイスクール-----
第2章 北海道からの転校生
「・・・・・・重明くん・・・」
「大丈夫だよ。怖かったでしょ?」
「・・・・・・・・・ぅん・・・」
観戦(?)してるときは焦りすぎていろいろとぶっ飛んでたけど、
終わってみるとそのぶん、ため込んでいた恐怖と不安が一気に出てきたみたい。
涙ぐんで来ちゃった。ハンカチ、ハンカチ。
「誰だと思ったらさ、あっこないだ保健室に連れてってくれた子だ!って気づいてな。
怖かったな、うんうん」
ぽんぽんと、優しく背中を叩く重明くん。
落ち着くのを、待ってくれる。
「ああいうの最低だよな。女の子に手ェ出すなんて、不良の中でもカスの部類だわ」
「いや、でも、ほんと、ありがとう。自分一人だったら、あのまま、タコ殴りに、されてたもん・・・」
まだぐずぐずしてる自分・・・
「保健室に案内してくれたお礼だと思って。これで貸し借りゼロね!」
「そっか、ありがとう・・・」
「ん。あ、これからここのコンビニ来るときは気をつけろよ」
「たぶん、もう、行かない・・・」
いやー、もうこのような運命をたどるのは嫌でございます。
「それが一番賢明かもな。ま、俺は大丈夫だろうからこれからもココ来ると思うけど」
確かに重明くんなら平気だね・・・。
「あ、自分、部活、あるから、お昼ご飯、買わなくちゃ・・・」
「俺がさっき買ってきたメロンパンでいいならやるよ。今ならこの牛乳付きで。
べそかきながらコンビニ入るのはいやだろ?」
「いいの・・・?自分の、ぶん、は?・・・」
でも確かにこれからコンビニに入るのはちょっとな・・・
「いいの。これも保健室のお礼。
俺メロンパン3個買ってきたし、牛乳も2本あるから、あげても大丈夫」
そう言って、メロンパン1個と牛乳1本をコンビニの袋に残し、自分のぶんをリュックに詰める重明くん。
そして私にコンビニの袋を握らせた。
「さ、学校に行こう。安心しろ、俺がついてる」
そう言って、軽く背中を押す重明くんの大きな手。
あのとき保健室で触れた、肉厚のやわらかい手。
・・・・・・頼もしいなぁ・・・
今日はそんな、重明くんの恩返しの日・・・でした。