第3章 3咲目,初陣
ーー3年前ーー
私には恋人がいる。名前はクィゼ。とても優しくてかっこいい人。
私は初めての恋愛ということで幸せの絶頂にいた。
ちょうど今日で付き合い始めて1ヶ月。
デートする約束をして、待ち合わせ場所で彼を待った。
しばらくして彼がやってくると、彼の家に招待してくれるという。
彼の家に行くことなんて初めてでとてもウキウキしていた。
でも、そんな期待を裏切ることを、彼の家で言われることになろうとは知るよしもなかった。
「クィゼ!」
「ごめん、待ったか?」
「うぅん!今来たとこ!」
「ならよかった。今日さ、うちに来ないか?話したいことあるし」
「行きたい!行く!」
「なら行こうか」
彼は微笑むと私の手を引いて、家に向かった。
その時から、彼の様子がおかしかった。
何故か急いでいて、私が息切れをしても手を引いて止まってくれなかった。いつもは歩調を合わせてくれるのに。
不思議に思いながらも連れてこられた一軒の家に私は足を踏み入れた。
その家の中は一面鏡張りだった。
「なに、この部屋…鏡…?」
「そうだよ、さぁ、ここに座って」
彼が優しく微笑み、椅子に座る。
彼の微笑みが今日はなんだか怖い。
「さて、話しっていうのはね…君以外にも好きな人がいるんだ」
「…え…?」
理解出来なかった。
彼は今何を言ったの?
彼は困惑する私をよそに話を続ける。
「でね、一人に決められないからみーんな僕のモノにしようと思って。なってくれるよね?僕のモノに」
「い…嫌に決まってるでしょ!?なんで浮気みたいことしてる人のモノにならなきゃいけないの!?絶対嫌!今すぐ別れて!」
私がきっぱりとそう告げると、彼の顔から笑みが消えた。
「そう…残念だな…力づくは嫌だったんだけど…仕方ないよね」
そう言って立ち上がり、近づいてくる。
私は必死に逃げようとしたけれど、彼に腕を掴まれた。
その瞬間、鏡張りの壁から手錠と足枷が飛び出てきて私の両手足を捉えた。
「な、なにこれ!?」
「僕のモノになった子たちを逃がさないようにするための道具だよ」
彼は不気味に笑った。
「さぁ、調教の時間だよ」
それから地獄のような日々が始まった。