第3章 3咲目,初陣
「そ、そんなのダメです!だって貴方は人類の希望で…私なんかに命かけるなんてダメです!」
「ゴチャゴチャうるせぇ…ちゅっ」
いつまでも自分を卑下するイリアの唇を自分のそれで強引に塞いだ。
「んっ!?んっ…」
「ちゅぅっ…」
呼吸をしようと口を開いたイリアの口内に舌を強引に入れて絡める。
あったけえし、やわらけえ。
そして何より、表情がいい。
感情が入り混じって潤んだ瞳に、真っ赤になった頬。
たまらねぇ…こいつが何を言おうともう知らん。
イリアは俺だけのものだ。
俺が口を離すとイリアは物足りないとでも言うような表情をしていた。
「なんだ、嫌だって言う割にはもの足りねぇって顔してんじゃねぇか」
「そんな…こと…」
「…いいか、よく聞け。俺はお前を離す気はない。たとえお前が過去に何をしていてもそんなこと知らん。お前は俺のだ」
俺が宣言するように言うと、イリアは驚いたように目を見開いた。
「本当に…いいんですか…?」
「さっきからいいと言ってるだろうが」
「っ…離れないでくださいよ?離れたら…きっと貴方を…」
「わかってる。それ以上言わなくていい」
俺はイリアの言葉を遮るようにまた抱きしめた。
「!リヴァイさん…」
「好きだ、イリア」
「私も…好き…です…」
消え入りそうな声でイリアが答えたのを聴いた。
「遅い…どんだけ待ったと思ってんだ…待たされた分、お前からの愛ももらうからな」
「はい…私の愛でよければ…いくらでも」
瞳に涙を浮かべながら微笑むイリアは、闇夜に輝く星のように美しい。
「…珍しい色だな…お前の髪の色も、瞳の色も」
「!…昔は、こんな色じゃなかったんですよ…リヴァイさんみたいな黒髪でした…けど、私が罪を犯した時にショックで色素が抜けてしまったみたいで…嫌ですか?この髪色…」
「まだそんな心配をしてるのか…綺麗に決まっているだろうが」
わしゃわしゃと頭を撫でてやるとイリアは笑顔を浮かべた。
「ほら、そろそろ宿舎に戻るぞ」
「はい!あ、でもその前に…」
立ち止まったイリアを見て不思議そうにしていると、なんとも言えねぇようなお願いをされた。
「…もう一回…抱きしめてほしい…です」
俺は何も言わずにイリアを抱きしめた。
こいつの顔は恥ずかしさで夕陽のように真っ赤に染まっていた。