第2章 “エース”を連れ戻せ
※ ※
「なーんか不思議な子だよなー」
「え?瀬戸のことか?」
「うん。瀬戸」
菅原の突飛な発言に、一同は目をぱちくりとさせる。菅原はそんな彼らを尻目に、独白の様に先を続けた。
「普段は大人しくて笑わなくて、表情もあんまり変わらなくて、まるで俺らに干渉するのを怖がってるみたいだ。でも、俺らの為ってなると、驚く程の行動力を見せる。掴みどころがなくて曖昧。でも不思議と目が離せなくなる。そんな感じしないか?」
「な、何か難しいっス・・・・」
「俺も・・・・」
「おれもです・・・・・・」
三馬鹿トリオは静かに挙手をする。月島はその姿を見て
遠慮無く吹き出し、三馬鹿トリオに攻撃を開始される。
「確かに、そんな感じっスよね・・・・」
「「「「「「「「!!」」」」」」」」
影山のポツリと零した言葉に、一同は驚きを浮かべた。
「な、何スか・・・・」
菅「いや、まさか、ねぇ・・・?」
澤「いや、まさか、なぁ・・・?」
「な、何スか!はっきり言ってくださいよ!」
「まさか王様がこの話理解するとは思ってなかったんダヨ」
「あっ、馬鹿月島っ!」
「お、おおおお俺だってたまにはありますよそんな時!」
「ホントか~~?瀬戸の話だから分かったんじゃねぇの~~?」
「そうなんだろ影山~~~?」
影山は顔を真っ赤にして抗議する。そんな影山を面白がる様に田中と西谷はからかい始める。
「ちょ、ちょっと!落ち着けよお前らー!」
東峰はどんちゃん状態になった場を静めるようと声を上げるが収まりそうもない。東峰は半ば怒りに任せて再び叫ぶ。
「結果的にお前ら瀬戸が可愛いって言いたいんだろッ!!」
そう東峰が叫んだ後、今まで例を見ない程烏野一同は静まり返り、月島の「お通夜?」という発言以降、さようなら以外は誰一人として一言も発さずに家路に着いたという。